火の歳時記

NO85 平成21929




片山由美子

 
  【火の話】第16回 青不動


  九月十八日から十二月二十日まで、京都の青蓮院(しょうれんいん)では平安時代からほとんど公開したことがないという国宝「青不動」のご開帳を行っている。
 青不動は平安時代後期の絵師によって描かれたものだが、秘仏であるため、ふだんは複製を開眼したものが本道に掲げられている。不動明王は大日如来の化身である。大日如来は密教の曼荼羅の中心に描かれていることからも分かるように、宇宙のすべてをつかさどる仏であり、その崇高な大日如来を直接拝むのは恐れ多いというので、替りに不動明王を拝むのである。不動明王を拝むことは大日如来、つまり宇宙の中心に向かって拝むことであり、宇宙と一体化することになるのだという。ところで、不動の周りには紅蓮の炎が描かれている。この炎をよく見ると、じつは七羽の鳥のかたちになっているのが分かる。

      

 この鳥は迦楼羅(かるら)と呼ばれ、金色の鷲のようなかたちをしている。口から火を吐き、竜を取って食うという鳥で、仏教を守護する役割を負う。ガルーダともいわれるが、こちらはヒンズー教の神の名となり、体の一部が人間の巨鳥である。ビシュヌ神(ヒンズー教の三主神の一で、太陽の光を神格化した神)がこの鳥に乗るという。
    

   その名のとおり、ガルーダ・インドネシア航空のマークになっている。



 
 (c)yumiko katayama

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