「絆」―家族で楽しむファミリー句会 第2回

実施日 2008年2月3日    場所 自宅



 こんにちは、佐怒賀家です。第1回の「新年句会」はお楽しみいただけましたでしょうか。
 今回は、「節分」に「日曜日」が重なり、しかも朝からの「雪模様」、さらにそのために筑美の部活動も中止と、様々な条件が重なり、それではということで、やや強引に「雪の節分句会」を開いてしまいました。    
 夕食には、家族4人で炬燵に入りながら、昨今の流行に流されて「恵方巻」をかぶりつき、午後8時より豆撒き開始。句会は豆を撒き終えた8時10分ころより始まりましたが、今回は筑美が大苦戦。なかなか句が出来ず、選句が始まったのは9時30分ころになってしまいました。
 結局、こんな句が出されました。

 鬼打豆(おにうちまめ)(ほう)れば夜の雪匂ふ
 雪の上
(へ)の足跡へ豆撒きにけり
 夜の雪に青さのありて鬼やらふ
 雪だるま見上ぐる闇へ豆撒けり         直美
(通称:おとう)

 落つる音確かめて豆撒き終はる
 闇へ豆撒いて異界を閉ざしけり
 夕餉済んでより再びの雪となる
 風呂掃除志願者は無し福は内
 乗り継ぎの首尾よく済んで雪の駅
 午後の雪小降りに猫の毛づくろひ       由美子
(通称:ままい)

 積み上げた雪のダルマは父に似て
 走る鳥雪にお尻の跡ついて
 どさっと落ちる雪をふくれた猫は見て      琴美
(通称:ねね)

 窓あけば寒さで伝わる雪景色
 早朝に雪はらいつつ買い物す
 雪降れば歩くだけでも遠足気分         筑美
(通称:つう)
     
  選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。

  直美選  ○落つる音確かめて豆撒き終はる     由美子
       ○午後の雪小降りに猫の毛づくろひ    由美子
       ◎どさっと落ちる雪をふくれた猫は見て   琴美
       ○積み上げた雪のダルマは父に似て     琴美
       ○早朝に雪はらいつつ買い物す       筑美

  由美子選 ○鬼打豆抛れば夜の雪匂ふ         直美
       ○夜の雪に青さのありて鬼やらふ      直美
       ○積み上げた雪のダルマは父に似て     琴美
       ○どさっと落ちる雪をふくれた猫は見て   琴美
       ○早朝に雪はらいつつ買い物す       筑美
       ○雪降れば歩くだけでも遠足気分      筑美

  琴美選  ◎夜の雪に青さのありて鬼やらふ      直美
       ○雪だるま見上ぐる闇へ豆撒けり      直美
       ◎風呂掃除志願者は無し福は内      由美子
       ○闇へ豆撒いて異界を閉ざしけり     由美子
       ○午後の雪小降りに猫の毛づくろひ    由美子
       ◎雪降れば歩くだけでも遠足気分      筑美
       ○窓あけば寒さで伝わる雪景色       筑美

  筑美選  ◎鬼打豆抛れば夜の雪匂ふ         直美
       ◎午後の雪小降りに猫の毛づくろひ    由美子
       ○風呂掃除志願者は無し福は内      由美子
       ◎どさっと落ちる雪をふくれた猫は見て   琴美

 選句の後は、それぞれの句について、みんなで意見交換をしました。

 まずは筑美の句についての選評です。

☆ねねは「雪降れば」の句をとりました。ちょっと作文ぽいかなと思いましたけど、でも雪が降ってるワクワク感みたいなのが良く出ていたかなと思ってとりました。「窓あけば」は、言いたいことが今ひとつわからないところもあるんだけれど、五感をすべて使おうとしている雰囲気がつたわりました。(ねね)

☆「早朝に」の句は素直だと思います。ちょっと平凡かなとは思いましたが、一番俳句らしいかなと思いました。「雪降れば」は、ちょっと説明しすぎてわかりすぎた気はしたんですが、「遠足気分」というのが可愛かったのでいただきました。(ままい)

★おとうも「早朝に」が一番素直かなと思ってとりました。「早朝に」だと時間の説明になっちゃうから、「早朝の」の方がいいのかな。あとは、「つつ」は時間の継続とか動作の反復とかをあらわすから、俳句では余り使わない方がいいのかな。「早朝の雪を払って買い物す」でいいんじゃないかな。「雪降れば」は、「だけでも」はなくていいよね。「窓あけば」は言いたいことは一番俳句らしいと思うんだけど、ちょっとまだ言い切れてなかったかな。(おとう)

☆ねねも要素としては面白いと思った。(ねね)

★でも、今日は不調だって言って随分時間が掛かったけど、よく頑張ったよね。(おとう)

 続いて琴美の句についてです。

★「どさっと雪」の句は、「ふくれた猫」が面白かったのでとりました。「積み上げた」はつうは実際にその「雪ダルマ」を見てないから…。(つう)

☆見せたじゃない、写真で。そこにもまだあるし。(ねね)

★でも、本物は見てないから、とりませんでした。(つう)

☆「積み上げた」の「雪ダルマ」は、偶然似たんじゃなくって、もともと「おとう雪ダルマ」を作ろうとしたのかな。(ままい)

☆太った雪ダルマになってきたから、「おとう雪ダルマ」にしたんだけれど、その過程は伝わらないか。(ねね)

☆そのあたりが、何か上手くかみ合ってないという感じがしました。「どさっと」は、「ふくれた猫」は面白いけど、「どさっと」雪が落ちて、その雪を「猫」が見てて、さらに「ふくらんでた」っていうと、すこし欲張ったかもしれないなって感じかな。(ままい)

☆うん、欲張りました。あはは。(ねね)

☆「走る鳥」は、まずこの「走る鳥」っていうのにびっくりして、あの「テテテ鳥」かなとは思ったんですが、それが…。(ままい)
※我が家では、庭にやってくるたぶん鶺鴒の仲間だと思われる小鳥をこう呼んでいます。

☆ダチョウみたい?(ねね)

☆うん、うん。何かすごいやつみたいで、ヤンバルクイナかなんかがお尻に雪つけて走ってる姿が浮かんじゃって、インパクトが強すぎてとれませんでした。(ままい)

☆あと、お尻に雪をつけてるんじゃなくて、雪に尻尾の痕がスーッとついてるのを詠みたかったんだけれど…。(ねね)

☆ああ、そうなんだ。じゃあ、題材はとってもいいけど、まだちょっと句に出来てないかなって気がします。(ままい)

★おとうが一番好きだったのは「どさっと雪」の句で、これはこれで良いんじゃないかなって。別にそんなに欲張ってるとは思わないし、「ふくれた猫」なんてのも面白いと思うよ。(おとう)

☆やったね、ミーちゃん。(ねね)
※我が家に居ついている三毛の野良猫は、勝手に「ミーちゃん」とか、「ミケ」とか呼ばれています。

★「積み上げた」は、そうすると「積み上げて」なのかな。「雪のダルマ」は「雪ダルマ」が本当だろうから、語順を変えたりしてみると上手くいくかも知れないね。たぶんねねが言いたかったのは、「積み上げて父に似て来し雪ダルマ」なんだろうけど、これじゃ古いか。(おとう)

☆「走る鳥」の句はどうしたらいいかな。(ねね)

★「雪に尻尾の痕つけて」でいいと思うけど、上五をどうしようかな。(おとう)

☆「テテテ鳥」じゃだめだもんね。でも、鳥の名前だと季語になっちゃうよね。(ねね)

★うん。でも、季語が二つあっても、その重さが違えばいいこともあるんだよ。鳥は結構長い時期の間いるけるど、雪はその時期しか降らないじゃないか。そういうときは「雪」の方が季語としての役割をしていると思えばいいからね。だから、たとえば「セキレイの雪に尻尾の痕つけて」なんてしてもいいんじゃないかな。(おとう)

更に由美子の句への選評です。

★「午後の雪」の句をとりました。句を読んで、雪が小降りになって、猫がひょっこりやって来た様子が、見ていなくてもよく想像できたからです。これが一番好きで、もう一個の「風呂掃除」の句は、最後の「福は内」が良かったからとりました。何か、ままいが自分に「福は内」って言って頑張ってるみたいで、句としてよりも、とにかく「福は内」が良かったです。(つう)

☆ねねは、その「福は内」を一番にとりました。何かコミカルな要素が強いんで、本当は俳句としてはどうなのかなとは思ったんですが、でもこれがやっぱり好きだったのと、この句には若干恨みがこもってるけど、最後の「福は内」で柔らかくなっていて、そのへんが上手く五七五なのに出来てるし、季語も入っているし、俳句にもなってるっていうところで、これを一番にとりました。それから、次にとったのが、「午後の雪」で、ミーちゃんの背中に少し雪が降りかかっていたのも見てるし、「小降り」と「毛づくろひ」が私の中ではマッチしたので、これをとりました。「闇に豆」は、「異界を閉ざしけり」が何かだめなのかもしれないとは思ったんだけど、でもねねとしてはけっこうそれが好きだったのでとりました。(ねね)

★おとうは「午後の雪」がこの中では一番好きな句です。一番情景がよく分かるかなって思いました。「午後の雪」なのか「午後は雪」なのか、おとうは「午後は」の方がリズム感があって好きかな。「落つる音確かめて」は形として一番俳句らしくなってるかなって思って取りましたけど、少し時間の経過の説明になっちゃってるのかなとも思います。「闇に豆」は、「異界」が分からないっていうか、分かりすぎちゃうっていうか、ちょっと言葉が一人歩きしてるところがあるのかもしれないかな。「夕餉済んで」の句の方が素直でいいんじゃないかな。「風呂掃除」の句は、俳諧味があって面白いんだけど、恨みを感じたんで取りませんでしたけれど…。(おとう)

☆感じてとりなさいよ。(ねね)

★面白い句だとは思ったんだけど、怒りの句だったんで取れませんでした。(おとう)
 
☆取ればいいのに。「福は内」でドンマイって言ってるんだから…。(ままい)

★「乗り継ぎの」の句は、「雪の駅」じゃない方がいいのかな。「上手くいってよかったなあ、雪だから」になっちゃうから、もっといい季語があったんじゃないかなって思いました。(おとう)

最後に直美の句についてです。

★「鬼打豆」の句で、つうもさっきの句はこういうふうに作りたかったんだなあって思ってとりました。でも、つうには「雪匂ふ」は出てこないなって思いました。他の句も今日のことを詠んだ句で良かったんだけど、この句がつうも一番作りたかったことなのでとりました。(つう)

☆ねねは、今回のは全体的に良かったなあって思いました。豆撒きだけで作ったというのが、豆撒きで作れなかったねねとしては、よく短い時間で作れたなっていう驚きで、全部とっても良かったくらいなんですが、最初の2句は上六なので、上六嫌いのねねとしては…。(ねね)

★「雪の上の」は、「雪の上(へ)の」って読むんだよ。(おとう)

☆よくわかんなかったけど、まあ、その2句は置いといて、「夜の雪に」の句は、「青さのありて」っていうところが、ちょっと不気味でもあるんだけど、いいんだよねえ。すごいきれいな感じもするし、いいかなって思ってこれを一番にとりました。次にとったのは、「雪だるま」で、これもただの「闇」じゃなくて、「雪だるま」が見上げてる「闇」っていうので、雪だるまがあるのもわかるし、雪だるまを作った人のいることもわかるし、いろんなことが想像されるんだけれど、それがごちゃごちゃしてなくて、短くまとまっているところがさすがだと思いました。今回はまいりましたという感じでした。(ねね)

★「雪だるま」の句は、ねねが「おとう雪だるま」を作ってくれた記念に作ってみました。(おとう)

☆いつもだと、豆撒きを面倒くさがってここに座っていて、つうやねねにさせるのに、今日は自分から進んで撒いているなと思ってましたが、やっぱり、自分で撒いた時の方が俳句になるだろうなって思って、観念的に豆撒きの俳句を作ることは出来ても面白くないんで、まあ動機はどうであれ、自分で豆を撒いて来たんで、いい句が出来たのかなと思いました。「鬼打豆」の句は、やっぱりその夜の雪のきれいな感じが想像されて、「雪匂ふ」は上手いよなって思いました。「夜の雪に」は、雪って白いけれど、夜の雪って青い感じがして、シーンとしていると余計に青く感じたりして、いろいろな想像が出来る余韻のある俳句だなって思ってとりました。(ままい)

★おとうとしては、「雪の上の」も結構好きなんだけれど…。(おとう)

☆あっ、それは私の足跡だ。足跡を壊さないようにも行きも帰りも同じ足跡を通って来たんだから。ねねもそれを俳句にしようとちょっと思ったんだ。(ねね)

★つうも、作ろうと思ったんだ。つうも、朝早くジャンプを買いに行ったとき、そういう風にして帰ってきたから。(つう)
※週刊漫画の発売日だということで、雪の中朝早くから近所の駄菓子屋まで行って来たのでした。

★本当はさっき豆を撒いた時にはそんなにはっきり足跡は残ってなかったんだけど、昼間に見た、ねねの足跡だったのかな、が結構印象に残っていて、そのあたりに豆を撒いたもんだから、自然に出来た句なんだ。(おとう)

★でもさ、うちって変な家族だよね。明日学校だっていうのに、こんな時間に句会なんてやってんだもんね。明日学校行って、「実は昨日の夜さあ、うちじゃさあ、9時半ごろ句会やったんだ」とかさ、「昨日の夜、家族句会でさあ、夜の雪が青いとか何とか言って盛り上がっちゃてさあ」なんて言ったら、「お前、何やってんだよ」って言われちゃうよな。(つう)

☆「句会」って言っても、何やってるのか分からないし、こんなふうにやってるのもきっと知らないよね。(ねね)

★「それでさあ、3句出してさあ」なんて言ったら、「何頑張ってんだよ」ってさ。(つう)


などと言いながら、結局は午後10時過ぎに終った「節分句会」でした。
では、またお会いする日まで、さようなら。

 
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